面接は非常に確率の悪いお見合い

面接は非常に確率の悪いお見合い

白川さおり

白川さおり

走る広報アドバイザー

7社転職をしている、ということは少なくとも7回は企業面接を受けている。数ヶ月手伝って、というケースも含めると10社以上とご縁をもったので正確には10回以上である。

大体平均1社3回の面接だとすると、30回の面接を受けていることになる。いやいや、行かなかったり、落とされたりした会社もあるからその倍か、、我ながら凄い数!!

面接ってストレステストなのだろうか?緊張しながら人事担当者からジロジロ見られ、担当部門長から根掘り葉掘り質問され。と思った時も最初はあった。

でも途中からはそう思わなくなった。

私だって、この会社で働いて自分の経験や良さがが活かせるか?実際、どんな期待を持たれているのか?会社の雰囲気は想像通りなのか?いろいろ値踏みさせていただく機会なのだ。入社して早々に退職なんて避けたいし。そう、お互いに、この人で大丈夫かを確認し合う機会なのだと思っている。

しかし、つくづく、分の悪いお見合いだとは思う。

お互い様とはいえ、ポジションが高いほど面接の回数も多いものである。この人で良いか、皆んなからじろじろ見られるのは心地良くはない。

まずは人事担当、もしくは人事責任者からのスタート。

人事部門って鬼門ですよ。広報部門の採用面接でも、実は広報部門の内情を詳しく知っているわけではない。表向きな情報しか持っていない。会社の財務情報の情報だって、さすがに人事部長が役員クラスなら知っているであろうが、担当者の場合はほぼ知らない。上部の良い情報ばかり話すから要注意。

面接といえば、私も一度、危険と紙一重な面接があった。

とある米系投資銀行の広報部長ポジションの面接。もう、無くなってしまった会社なので実名も良いかな。リーマンブラザーズ投資銀行である。

職種は広報にロックし、業界は問わず、で転職してきた私だったけど、この時はリーマン、やけに提示金額が良くって、面接に行った。

(欲深な正確だけど、家族を背負って働いているのだから仕方ない、と自分を慰める)

日本の人事責任者、その後、アジアパシフィックの人事ヘッドとの面接だった。

が、当時、1つ気になることがあった。面接を受ける会社はこちらもいろいろ調べるよね、HPとか本社の財務情報とか。面接の時にアジアパシフィックの人事ヘッドに質問した。

「広報部長の前任者はなぜ退職したのですか?転職ですか?」

「確信はないのですが、御社、今、モゲージローン(住宅を担保にお金を貸す、住宅ローン等)の扱い高がとても多く、焦げつきも相当抱えているという情報を聞いています。もし本当ならそこらへんの経営に与える影響を教えてもらえませんか?」

その人事ヘッドは、モゲージローンに関しては、何も問題はありません。当社はあまりモゲージローンは多く扱っていないので他の銀行が抱えているような悩みも本国ではないです。それより、今回、業界外から貴方を採用して、業界慣習にとらわれないフレッシュなアイデアで当社の広報をリードしてほしいの。と意気揚々に話題を変えた。

なるほど、、、、

どうしても、ひっかかった。あまりもゲージローンを扱っていない、は嘘のはず。リーマンは相当量、住宅関連のローンを扱っているはずなのである。ただ、アジアパシフィックの人事ヘッドが問題ないと言うのであれば、とも思ったし、頭にお高い提示金額もチラついた。

$$$$$$💦

結局、このお話、断った。なんとなく、気が進まなかったのである。理由はなく、何となく。7月のことだった。

ご存知の通り、その2ヶ月後の2008年9月15日、リーマンブラザーズは経営破綻する。

リーマンは低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)を証券化して販売しており住宅バブルの崩壊とともに64兆円という空前の負債総額で破綻した。

当時、ニュースを見て寒気がしたのを覚えてる。ジャムの瓶を落としたし。もし、ここに2ヶ月前に入社していたら、、、メディア対応に追われるのは私だったんだ。私の代わりにここに入社した広報部長、いるんだよな、、

後から考えると、前任者の広報部長はその事実を知って破綻前に逃げたのだと思う。潰れた会社に勤めていたら、対応の大変さもさることながら、次の仕事が探しにくくなる。特に同じ業界で仕事を探そうとした場合はマイナスである。そして、彼らは次の広報部長、破綻する会社の敗戦処理(メディア対応)のため、何としても最短で新しい広報部長が必要だった。提示額がバカ高だったのも、彼らは長期で払う気など最初からなかったとも考えられる。払っても数ヶ月。業界外の人なら状況などわからないだろうから好都合、ということである。

こっわ。

でも、こーゆー勘は働くんだよね、私。

昔から転んでもタダで起きない女だと言われてきたし!!

とはいえ、結局は会社など、入ってみなければ分からない事も多い。面接で貴方が入る部門にはキッツイお局さんがいますよ、とか教えてくれないから。ほんと、確率低いお見合い。

ある会社で入社初日に、お化け(失礼、品の良い叔母様と呼ぼう)のような年配の女性がぬーーーっと現れて、

「部長のアシスタントのXXです」

「こっわ!!!」

「部長の前任者はメンタルで休職、その前任者はうつ病で入院。この部長のポジションは鬼門かと存じます。頑張ってください(微笑み)」

と言われた。聞いてないぞ、面接でそんな情報。

とりあえず、何か返答を欲しがっているようなので、

「あ、私、相当、鈍感なので大丈夫だと思います。よろしくね」

と返したら、とても不満そうな顔をされた。

(きゃー、こっわーーい、と言えば良かったのか)

ケミストリーも大事。うまい日本語がないのだけど、その会社全体が持っているカラー、雰囲気ね。あと一緒に働く人と合うかどうか。

一度、高級ファッションブランドさんの面接に行ったけど、出てきてくれた女性があまりにお化粧バッチリ、つけまつげビヨーン、バリバリなブランド服と転びそうなハイヒールで現れて、あああ、私、むりーー、とかね🤣

それ以来、銀行関連と高級ブランドは私のNGリストに入った、流石に。

面接の話ももう少し。

特に広報の面接の場合、私は、職歴書を見ながら何を考えるか。

広報の場合、チームで動いたり、予算に余裕がある会社はPR会社(広報専門の代理店)をリテイナー契約(月額定額)でお願いしていることが多い。

職歴書に、あれやりました、これもやりました、と自分がやったように書かれていても、ちょっと深堀すると、チームでの成果で本人はサポート程度しか関わっていなかったりするケースもある。また、こんな記事を獲得しました、と書かれていても、実はPR会社が仕掛けて実現した記事のケースもある。

職歴書をみながら、このプロジェクトではどんな役割だったの?は聞きます。あと、XXXX年この業界のXX新聞の担当記者さんってA記者さんだよね、私も実は親しいのよ(かなり意地悪)、とか。こちらも下調べくらいはしますもの。

そこで、そうなんです、A記者さんにはお世話になったんです、と話が盛り上がるか、青ざめて固まるか。ですね。

広報の職歴書はいくらでもお化粧できるし、人事まではそれで通用しちゃいますが、現場責任者(特に私のような上司)との面接ではボロが出てしまいます。なるべくお化粧は程々のようがいいと思う。

あと、私が必ず聞くようにしていたことは、3年後、5年後のこの会社でのキャリアビジョン。どうなっていたいのか?採用後の参考にしたいから。

逆に、候補者の方からの質問には、ほぼ本音で誤魔化さず答えることにしていました。だって、私だって化かし合いのお見合いなんて嫌だもの。誠実さが一番だと思ってる。

最後の決め手は、何ができるから、とかどんな有名大学だから、ではなく、この人と働きたいか、なんだと思う。ほんと、ここだと思う。

もー、人事担当者がよく使う、

「この候補者、地頭良いと思うんですよ、おすすめかと思います」

(地頭良い、をよく学歴良い、人に使っていた)

そんな訳わからない理由で採用はしませんよーーー。

私だって、都内の私立女子中学から俗に言うエスカレーターで大学まで行った受験してない、人事的には地頭悪い女ですから🤣