ATSを使ったオウンドメディアリクルーティングを進めるときに、一番「めんどうだな」と思うのは求人票の作成、特に求人メッセージ的な自社PRや仕事内容紹介の文章作成ではないでしょうか?
求人票の募集条件には比較的びっちりと項目が入っているのに、「自社についてのPR」「仕事内容」「求める人材」などの求人メッセージを文章で表現する項目は内容がスカスカで、他社差別化が弱く「屋号」を変えればほかの会社でも使えるような求人票を作ってしまっている企業に非常によく出会います。
なぜ求人メッセージ覧を空欄にするかを尋ねると「何を書いていいのかわからない」「書く内容がそんなに多くない」「そもそも文章を書くのが苦手でおっくうになる」といった答えが返ってきます。
そんな時にボタンひとつで400文字くらいの、気の利いた文章を作ってくれるのが「生成AI」です。ここではこの「生成AI」をつかって、自動で客観的なPR文章を作ってもらうコツをお伝えします。やってみるとそんなに難しくなく、入力して1分もあれば頭を悩ませた問題は解決します。ぜひチャレンジしてみましょう!
なぜ、求人メッセージの文章が必要なのか
求職者は、必ずしも条件だけで仕事を探しているわけではありません。2024年3月に発表したエン・ジャパンの「求人選びの軸」調査において、最も大事にしている軸は「自分にできそうか」が64%、2番目が「希望の条件(勤務時間・休日休暇など)があるか」の56%でしたので、まず「自分にできそうか、できなさそうか」を考えてから条件を見る、という軸で企業選びをしている人が多いことが見てとれます。「経験・スキルが活かせるか」「やりがい・達成感が得られるか」など、条件だけで判断できない項目もトップ5に入ってきています。
また、「企業のことを知るためにやったことで、知りたくても自分で調べ切れなかった情報があれば教えてください。」という問いに対して、上位は「職場の雰囲気・社風」「社員の定着率」「仕事内容」「経営者の人柄・考え」といった項目。こういった項目は、求人票以外にホームページやクチコミを調べても出てこなかったとコメントもされています。「自社についてのPR」「仕事内容」「求める人材」をしっかりと記載した求人票を作れば、求職者の要望にも応えられ、他社との差別化にもつながります。
求人メッセージの文章作成をAIに助けてもらう手順
まず、どういう人を採用したいか、どういう応募者と面接したいか、といった「求める人物」を明確にしていきます。
求める人物は「タイプ(その人固有のキャラクター」と「スペック(能力、専攻学科科目、取得した資格、経験した仕事、キャプテンやリーダーといった経験した役割など)」に分けて言葉にしていきます。
採用する際にどういう人を求人するかを具体的に考えていなければ、「こういう人があと2,3人いてくれたらいいのに」と思う「いま活躍している人」をイメージして具体的な言葉を出していきましょう。
誰にでも挨拶し話しかける陽気なキャラクター、素直な人、勉強熱心な人。失敗してもへこたれない人、といったタイプ(キャラクター)、学校で機械系の知識を勉強した人、中国語がある程度読める人、などのスキルを出していきます。
さらにその人はどういった生活をしているのか?もう1,2階層深掘りしていきます。
年齢、性別、居住地、職歴、専攻、学生時代の部活動、といった求人票の人材要件に記載がない項目、趣味・興味関心、家族構成、ライフイベントの有無なども仕事探しのきっかけになるところなので、イメージしていきます。
もちろんこれをもとに採用差別したり、求人情報に記載したりするわけではなく、あくまでも「こんな人に応募してほしい」という希望的観測も含んで、顔が頭に浮かぶほど、イメージを具体化していきます。
こうして具体化した仮想の採用したい人物(求人ペルソナ)が仕事探しをするならどういった言葉で求人検索を行うか、具体的なキーワードも出していきます。
ここが大切になってきますのでこの観点でキーワードを箇条書きしていきます。
このペルソナイメージ、キーワードをもとに生成AIに文章を作ってもいます。
生成AIは、ChatGPTなどが有名ですが、皆さんが日常的に使っているパソコン、Google検索やWindows自体にも既に生成AIによるアシスタント機能は標準搭載されています。今回の要件であればこのレベルで十分活用ができます。
Google検索を利用する場合は、Googleの検索結果に「Gemini」と入れてみてください。すると『Geminiと話してアイデアを広げよう』という検索結果が出てきます。そこをクリックしましょう。すると下記のような画面が出てきます。
この「ここにプロンプトを入力してください」という小窓に質問項目を書き込むとAIが考えた答えを返してくれます。
Windowsパソコンの場合は、画面左下の虫眼鏡のマークの右隣に青と赤のリボンのようなアイコンがあると思います。そこをクリックしてみてください。そうするとWindowsのAI Copilotが作動します。
Copilotの画面もGeminiとほぼ同じで、「会話を始めましょう Copilotとチャット」と書かれた小窓部分に質問項目を書き込みます。
この「プロンプト」と呼ばれる質問項目が、生成AIへの質問になります。生成AIは問いかけられた質問に忠実に答えを返してくれます。この質問がいい加減であればいい加減にしか答えを返してくれません。「知識が豊富で仕事が速く有能だけど、一から十まで何をやるかをしっかり説明しないと正しく動いてくれない部下」だと思っていただけるとよいかと思います。面倒くさいやつですけど使いこなせれば手放せなくなります。
ここではGoogleのGeminiを使って、こんなプロンプトで求人PRの作成を依頼してみました。
この##以下に先ほど作成した「ペルソナイメージ」「起こりそうなライフイベント以下の項目」「検索しそうなキーワード」をコピーして、パソコンのenterを押せば、30秒から1分で、依頼したPR分を作成してくれます。
##(大項目の意味、#の数を増やせば中項目、小項目になる)や—-(区切り文)といった記号は「マークダウン」という万国共通の記号ですので参考に使ってください。
あなたは求人広告のプロフェッショナルです。
株式会社ワガゴトプランニングという人材採用支援を行う会社への、企業情報、仕事情報、採用したい人物のヒアリング結果で出てきたキーワードをもとに、求人広告の採用PRに使用する、求職者に伝わりやすい文章を作成してください。
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##作成目的
求職者とのマッチング
##作成してほしい文章
採用メッセージPR
営業職希望者(個人決裁権の強い法人営業の経験者)へのPR
##作成してほしい文章量
「採用メッセージPR」「営業職希望者向けPR」それぞれ500文字程度
##ターゲットペルソナ
ここにペルソナの文章、想定されるライフステージの文章をコピペ
##PRに盛り込む、または参考にいただきたいワード
キーワードをコピペ
回答者の立場とこの回答の用途を明確に、改行や行間をつかってわかりやすく文を整え、質問内容にはあいまいな表現をなくし、納品形態や文字数を記述しておくことがポイントです。
そうすると、30秒ほど考えた後、以下のような求人メッセージと求職者へのPRの文章を作成して「たたき台」として教えてくれます。
この文章に赤入れをしながら、PRの文章を作成していきます。読んでいると、実際に採用したい求職者に会社や仕事のイメージが伝わるだろうか?ほかの求人広告に負けずにこの内容でちゃんとアピールできるだろうか、などといったプランが頭にわいてくると思います。こういった考えを巡らせて修正していくことで、自分の言葉で文章を構成することができます。ゼロから文章を考えるよりはるかにはやくPR文が完成します。
ちなみに、Google Geminiは先ほどの文章に対して、こんなアドバイスも添えてくれています。
かなり賢いです。このアドバイスをもとにより具体的な文章を作成すると、求職者へ求人メッセージとしてより伝わりそうだということが分かります。ゼロから文章を作るよりはるかに作業が早くなります。
こういったところにAIの力を使って進めることで、一見アナログな文章作成の作業も効率よく進めることができます。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。
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