「面接ができないのです。応募はあるにはあるのですが、仕事に手が取られてしまって応募者への返信がすぐにできず、連絡してもその後連絡が取れなくなってしまいました……」
地方×中小企業の採用トレーナー業を営んで5年。現在の求人応募状況を伺ったときこの言葉をよく聞きます。残念ですが、これあるあるです。
そのたびに、わたくしはこうお伝えします。
「社長、その工程を自動化して、まずは100%面接で口説けるようにするところから始めてみましょう」
はじめまして。わたくし神宅謙一郎(カンヤケケンイチロウ)と申します。おそらく初めて見た苗字かと思います。たいがいの方には二度聴きされますが、覚えていただけるのでありがたいです。日本で50人しかいない珍名さんなのだそうです。
昭和43年生まれ。求人の世界に足を踏み入れて30年余り。求人サービスの版元で「営業企画」という、「商品開発」と「営業」「利用する企業」の間に入って『最適なサービスとは何か』『どうやったら採用成功の方程式が作れるのか』をマニアックに研究するポジションを長年務めておりました。
幸か不幸か管理職に縁がなく、大半を現場実務に費やし、手を動かしていました。10年前にリクルートを卒業してスタートアップの社内研究機関でマニアックに求人サービスの研究を進め、2020年に独立。WaGaGoToプランニングという屋号で『採用パーソナルトレーナー』を開業。年間を通してのサポートは二十数社、そのほかセミナーやスポットのサポートで300社以上の地方×中小企業のご支援・アドバイスを行っています。
いま、求人の世界は劇的に変化しています。求人媒体事業者だけの独占権益に近かった「求人募集広告の掲出」が2015年のIndeed襲来によって開国され、いまや誰でも自由に求人募集をインターネット上に配信することができます。
テクノロジーの進化で、求人応募の受付や、面接や、手続きや、入社後の支援までHRテックサービスという自動化ツールが2020年以降に急成長。いまや400種類以上のサービスが存在しています。とにかく「楽に」「簡単に」採用活動を「自分たちの力で」行うことができるのです。なんてすばらしい世界。
なのに、ほとんどの企業さん、特に中小企業さん、テクノロジーがやや苦手な同年代の皆さんが経営されたり人事をされたりしている企業さん、はこういったツールを導入されておらず、過去と同じやり方で採用活動を進められています。
はっきりいって、もったいないです。
ただでさえ、昔みたいに簡単に人材が採れなくなっている時代です。この傾向は残念ながら未来永劫解決されることはありません。そして働き方改革が始まった2019年以降は昔みたいに残った仕事は残業やお持ち帰りで解決することもできず、少ない人数で限られた時間内にやりきらないといけないため、とにかく忙しい毎日を過ごされていると思います。
本書は、そんな日々をお忙しく過ごさざるを得ない日本の中小企業の社長や採用活動にかかわる総務人事、現場責任者兼人事の皆さんに少しでも「楽に」「簡単に」採用の仕事にとりかかってもらうため、『採用自動化ツール』を導入してみようかな? と思っていただくためのアドバイス本です。
採用活動に存在するたくさんの「手作業」は実は「自動でできること」がたくさんあります。極端な話、小人さんが夜寝ているうちに靴を作ってくれたおとぎ話のように、朝起きたら面接スケジュールが調整されていたり、1時間かかった作業がボタン一つで完了していたり、ということも実際にあります。
「忙しくて、できなかった(涙)」ということが減り、たっぷり時間をかけたいことに時間をかけられるようにするアドバイス本と思ってご一読いただけるとありがたいです。
簡単に自己紹介をさせてください。
わたくし生まれは大阪、天神祭が有名な天満の天神さんの氏子として昭和43年に生まれました。学年100人に満たない都心のドーナツ地域で小、中を卒業。地元の公立高校から関西有数のお笑い芸人輩出大学に入学。オフィス引っ越しのアルバイトでリクルートという会社に出会い、会う人に惹かれ、何をする会社かもちゃんと理解しないまま創業10年に満たない地元企業の採用を専門に行うグループ会社にご縁をいただき、以来30年余り、地元企業のアルバイト・パート、地域社員採用を主戦場とする人材領域にどっぷりつかって今に至ります。
リクルート時代は営業企画という部門で大半を過ごしました。商品開発と営業現場をつなぎ、成功事例の収集や成功パターン体系化と横展開、顧客の状況を開発へ伝え商品の「微調整」を依頼するポジションです。特に求人がWebサービスへ進化する際に2度新規事業の立ち上げに従事させていただき、地方企業に最適なWeb求人サービス事業を立ち上げたときは札幌から鹿児島まで全国36道府県で400社を超える企業様へ、地元の営業とともに『ちゃんと使ってもらえるかどうか』のフィールドマーケティングを行い、その時の経験から今も地域企業様の採用支援がライフワークになっています。
3年半で地球を何周もするほどの全国行脚は非常に印象的で、地元の有力企業ほど東名阪では当たり前になろうとしていた求人手法について「何の情報ももっていない」ことに驚きました。
全国行脚を始めた2009年当時は、都心では光インターネット通信が普及し始め、旅行や飲食店の情報収集や予約はWebサービスが主流。採用においても中途採用はもちろん、アルバイト・パート採用でもWebサービス活用が当たり前で、募集をインターネット求人サイトで行い、応募受付もメールかWebサービスで24時間自動で行う便利な流れになっていました。ファーストフードチェーンのスタッフ採用や、大手企業の新卒採用では自社でホームページを立ち上げて募集活動をWebサービスで完全集約する方法も始めていたころです。さすがにここまで普及しているとは思っていませんでしたが、あまりのギャップの大きさに衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
なぜ当時の地方企業はWebサービスで求人を行わなかったのでしょうか?
ひとつ目の理由は「使う必要がなかった」からです。地方での求人活動は、「高等学校からの紹介」「ハローワークの紹介」「地銀の紹介」と紹介でほぼ完結。公募する場合も「地元新聞の広告」か「新聞折り込みチラシ」が中心で、インターネットを使うのは「日本中から人を集めるような大手有名企業」だから、地元の求人活動で使う必要がないと考えていました。
ふたつ目の理由は、職場でインターネットを使ってもWebサービスを使って事務作業を行う習慣がなかったこと。出退勤管理はタイムカードをガチャンとパンチ印字して手集計、人事や給与の情報入力と書類作成にパソコンを使っても保存はプリントアウトしてファイリング、飲食や宿泊のお店の予約も電話で受けて台帳に書くところがほとんどな職場で、求人票作成や応募受付をWebサービスで行うわけがありません。
そしてみっつ目の理由は「教えてもらえる環境がないから」。これは大きいと思いました。広大なエリアで会社が点在しているローカル地域は効率が悪いので求人に限らず都心ほど営業は潤沢に存在しませんし、企業に足しげくも通っての営業活動は行いません。「こんな新しいサービスがあります」と教えてくれる人が少ないのです。だから伝わらない。
それに加えて、普及させる求人営業もパソコンがあまり得意でない人が多かったので、あえて顧客に新商品であるWebサービスを強く教えないというバイアスがかかっているケースも散見しました。苦手な分野を顧客から質問されると困るからです。
そういった3ない環境に置かれた地方企業の採用が楽になるように、地元の営業とともにWebサービスを活用した採用の進め方をお伝えして回り、多数の成功事例を作る仕事には2015年までかかわりました。
2015年から5年間はツナグ・グループホールディングスという、コンビニ、飲食、アパレル販売、物流倉庫、といった全国展開してたくさんの拠点で人材採用を行うRPO(採用最適化事業)のベンチャー企業に合流。ツナグはたらき方研究所という社内シンクタンクの主任研究員として、日本中の採用サービスや当時勃興し始めたIndeedなどの無料求人検索サービス、HRテックサービスという自動化ツールを5年間徹底的に研究し社内外へ情報発信を行っていました。
こういった自動化ツールが大手企業だけでなく、中小企業も使える時代になったらいいな。特に情報の伝達に時間がかかる地方の企業へ届けてあげたい。そう思って2020年に独立、今に至ります。
リクルート時代の経験と、ツナグはたらき方研究所時代の知見を掛け算にして発信するSNSでは多数の方から「知らなかった」「勉強になった」「ありがとう」の言葉をちょうだいし、オンライン・リアルあわせたセミナーはほぼ毎週どこかで実施させていただいております。
わたくしが採用トレーナーを行っている企業でもたくさんの変化が起こっています。
- 自社サイトの求人がどうやってもIndeedに掲載されない問題を、あるツールを使うことで解消したケース
- 応募は数人しか来ないうえに面接設定の途中でメール返信がなくなり採用できない企業を、ある自動化ツールを使って応募20人、面接16人、採用8人という状態に激変させたケース
- 面接設定しても、応募者が道に迷ったのか面接すっぽかしされる企業を、あるツールの設定を変えることでほぼ100%面接に来るように変えたケース
- 面接で誰を選んでいいのか悩んでいるうちに応募者に逃げられる会社を、あるツール導入で面接即決での採用を決められるように変えたケース
- 評価面談の準備で大量のコピーを行うためほかの仕事ができない月が年2回あった人事スタッフが、あるツールを使いこなして広報も兼務できるほど身軽になったケース
自動化ツールを導入し、皆さん、ほんとうにやりたいことができる環境を入手され、採用活動を楽しまれています。
この本をお読みいただくことが、みなさまのお困りポイントの解決につながり、1社でも多くの企業様が「楽に」「簡単に」採用活動を「自分たちの力で」行うことができる状態になるヒントにつながりますよう祈っております。
コメントをするには会員登録・ログインが必要です
会員登録・ログイン